年末恒例となった「2017年報道写真展」は、東京・日本橋三越本店(17年12月19日~25日)、静岡伊勢丹(12月27日~18年1月3日)を終え、1月13日(土)から3月25日(日)まで横浜市中区の日本新聞博物館で開催中です。東京写真記者協会加盟各社の写真記者が現場で写真に切り取った報道写真で1年を振り返る報道写真展は58回目を迎えました。



 今回の写真展に展示した作品は340点ほど。加盟各社の実行委員が2か月に1回会議を開き、撮影社名を明らかにしないで審査し絞り込んだ写真です。対象になった作品は各社から計8000枚を超えます。ニュース価値で審査枚数は変わるものの、単純に計算すれば24枚に1枚程度しか展示できないことになります。しかも写真パネルや写真説明の作成リミットとなる17年12月第2週までの報道写真が展示できるよう努力しました。12月18日に関係者に公開された上野動物園の「シャンシャン」も超特急で写真パネルを写真弘社に作成してもらい、19日開幕当日に間に合わせました。



 写真展会場に置かれた感想ノートには「毎年来場し、その1年を振り返っている」(70代女性)や「写真は真を写すとあるが本当か。誤解を招くことはないのか。写真を見る側の眼も求められる」(50代男性)との書き込みがあり、伝える側の我々にとってシャッターを切る時に忘れてはならない指摘として受け止めました。東日本大震災のコーナーをご覧になった方は「震災後の現状を伝えてもらって記憶の引き出しをまた開けてみた」と書き込んでいただきました。いずれの書き込みも写真報道に携わるものとして身の引き締まる思いです。写真記者は現場の最前線で被写体となる方との見えない絆を感じながらも、冷静な眼で写真を撮り続けます。



 日本橋三越本店の開幕ゲストにはプロゴルファーの畑岡奈紗選手(森ビル所属)に来場いただきました(写真①、②=共同通信提供)。最強の女子ゴルファーを決める日本女子オープン2016年大会をアマチュア、最年少として制覇、プロ入りした17年も連覇し、18年の米ツアー出場のための予選会を首位通過、海外でもこれからの活躍が期待されるニューヒロインです。静岡伊勢丹には世界陸上ロンドン大会の400メートルリレーで銅メダルを獲得した静岡県出身の飯塚翔太選手(ミズノ所属)と川勝平太静岡県知事がゲストでした。



 東京写協は2018年で創立70周年を迎えます。連合国の占領下だった1948年、連合国軍総司令部(GHQ)新聞課の指導で組織されました。それ以降、加盟社の写真記者はカメラを通じた「時代の目撃者」として、戦後のニュース活動の一翼を担ってきました。先人たちが実践してきた「自主取材を原則に、人権を尊重し、良識ある公正な取材活動」を堅持していく覚悟です。



 3月にはスポーツ写真に特化した報道写真展と、平昌冬季五輪の速報写真展を都内で開催予定です。詳細はまた改めてお知らせします。2018年が皆様にとっていい年となるよう願っています。



2018年1月