【写真】日本代表合宿の本田選手(左)と長友選手最近、日本人サッカー選手の海外進出が目立ちます。イタリア・セリエAのビッグクラブ・インテル・ミラノに移籍した長友佑都を筆頭に20人前後の選手が欧州の主要リーグに所属しています。ドイツ・ドルトムントの香川真司の昨年の大活躍は記憶に新しいですし、多くの選手がレギュラーを獲得、もしくは争っています。中でもCSKAモスクワの本田圭佑は派手な言動とファッションを含めスター選手の雰囲気がありますね。ビッグクラブ移籍の噂も絶えません。欧州の移籍マーケットは8月で閉じますので、このコラムが掲載される頃には新しいチームへ移籍しているかもしれません。

私が新聞社に入社した26年前、サッカーは決してメジャーなスポーツではありませんでした。海外で活躍していた選手も奥寺康彦さんしか記憶にありません。人気の高かったプロ野球の陰に隠れていたように思います。流れを変えたのは中田英寿の出現でした。彼は欧州のトップリーグ、イタリア・セリエAペルージャへ移籍し活躍しました。その後ASローマでもプレーし、“イタリアで初めて成功した日本人”になりました。しかしその後、欧州主要リーグで成功したといえる日本人は思い浮かびますが、“中田以上の選手”がいたでしょうか。

ところが今年、“私的に中田以上の選手”が出現しました。それは長友佑都です。彼はセリエAのビッグクラブ・インテル・ミラノへ移籍し、驚くことにレギュラーの座を獲得しました。(今後はわかりませんが)中田英寿はカップ戦要員でしたから、私の勝手な理論で“中田以上”となるわけです。

1998年、初出場のフランスW杯で私たちは世界との実力差を思い知らされました。2002年日韓大会での「思い上がり」もつかの間、2006年ドイツ大会では再び世界との差を実感しました。しかし、2010年南アフリカ大会では下馬評を覆し、決勝ラウンドまで駒を進めました。今年のアジア杯での優勝も見逃せません。8月のガチンコ対決では宿敵・韓国を3-0と圧倒しました。

躍進の理由は多々あると思いますが、個人の技術向上が大きい要因だと思います。タフで技術の高い欧州の主要リーグでプレーする選手が増えたことが日本代表のレベルの底上げにつながったのだと思います。今夏、19才の宇佐美貴史がドイツのビッグクラブ・バイエルン・ミュンヘンへ移籍しました。イングランドの名門アーセナルはオランダへレンタル移籍させていた宮市亮(18才)をプレミアリーグでプレーさせるため、特例で就労許可証を取得させました。日本人選手の評価は確実に高まっているのです。

7月、女子サッカーの“なでしこジャパン”がドイツで行なわれたW杯で優勝、日本に勇気を与えました。東洋人は不利といわれるボディーコンタクトの球技を「あきらめない心」で制したのです。南アW杯前「目標はベスト4」と発言した岡田武史前監督は世界から鼻で笑われました。しかし今後“中田以上の選手”が数多く出てくることで「誰にも笑われない日」は近い気がします。決してあきらめない心は日本人の大きな武器だと思います。