【写真】完全防備でビールかけを取材する各社のカメラマン(東京ドームホテル)例年、この時期は「プロ野球のペナントレースもいよいよ佳境で…」と言った決まり文句が、業界のあいさつ代わりだが、セ・リーグは21日、巨人の優勝が早々に決まってしまった。スポーツ紙としては、最後の最後まで競り合ってもらい、ファンが盛り上がったほうが、面白い紙面を作りやすいし、売り上げも期待できる。

パ・リーグが小差の戦いをしてくれているのがありがたい限りだが、ファンの関心がクライマックスシリーズや日本シリーズに移ってしまっているのは否めない。巨人と2位・中日、さらに3位・ヤクルトまでが約20ゲーム差(9月27日現在)で臨むクライマックスシリーズとなるが、あらためてシリーズの意味合いなどを考えてしまう。

原監督や主将の安部捕手など巨人ナインが歓喜に包まれた祝勝会。「ビール掛け」と称する祝宴の取材は、カメラマンにとっては、四方八方から飛んでくるビールや日本酒との戦いでもある。カメラやストロボをラップやビニール袋などでぐるぐる巻きにして防水対策をするのだが、なかなか完璧とはいかない。

締め切りが迫っている場合、嵐のような状況下でカードを抜いて、電送しなければならない。しかし、ビールまみれの手でカメラやカードに触るのはご法度なので、ラップ巻きのカメラを数セット用意して、カメラごと電送要員に渡す方法をとっている。

写真部員が使用しているCFカードは大容量。コマ数を気にしないで撮影できるので、「ビール掛け」などカードの交換にリスクを負う取材では非常に助かる。フィルムカメラの時代は、ラップ巻きのカメラが何台あろうとも、1セットで撮影できる枚数は36枚。肝心なシーンにコマの残りがなく、悔しい思いをしたこともある。

気になって、祝勝会当日の撮影枚数を調べてみた。選手の近くで、ビールまみれなりながら撮影できるカメラマンは1社1名に限定。弊社の某女性カメラマンが撮影した枚数は、カメラ2台で計902枚。約30分弱の宴の間に36枚撮りフィルムにして約25本分を消費したことになる。フィルム時代はせいぜい3、4本だったので、これぞデジカメの威力だろう。

では、プロ野球1試合で、どれほどの枚数のシャッターを切るのか。ちょっと古い話で恐縮だが、延長15回と日本シリーズ史上、まれに見る熱戦となった2010年のロッテ―中日第6戦の取材データが残っている。カメラマン7人で、なんと1万2362コマ。1人平均1766コマ、フィルムに換算すると343本。1取材での撮影枚数の写真部記録として社内で話題になった。

カメラの性能が上がり、メモリーカードの容量もぐんと増えている。今年の日本シリーズの対戦カードは未定だが、人気球団同士の好ゲームとなれば、カメラマンのテンションモも上がって、シャッターを切りまくる。「そんなに撮ってどうするの!?」とデスクは悲鳴を上げるだろうか、旧人類には目もくらむような枚数の新記録誕生を密かに期待している。