【写真】魚釣島沖の接続水域を並走する中国監視船と海保の巡視船=9月18日ロンドン五輪では日本選手団が史上最多38個のメダルを獲得し日本中が盛り上がった。その最中に、尖閣諸島や竹島をめぐる領土問題が急浮上した。終戦の日を前に韓国大統領が竹島に上陸し、8月15日には香港の活動家らが魚釣島に上陸した。そして中国の海洋監視船が尖閣諸島周辺に頻繁にやって来る状態が続いている。

9月14日、共同通信社との合同航空取材機「希望」は、魚釣島の北東沖を並走する中国監視船と海上保安庁の巡視船の姿をとらえた。同17日、中国のラジオが1000隻の漁船が尖閣諸島を目指して出港したと伝えた。同18日、尖閣周辺に漁船は現れなかったが、中国監視船団と海保の巡視船団が接続水域を並走した。=写真

撮影したカメラマンによると「18日の夕方、午前中に引き続き魚釣島を中心に中国の漁船団を探したが見つからない。このままでは何も撮れないと焦り始めたとき、パイロットが「魚釣島沖約27キロに船団がいる」との情報をキャッチした。現場に近づくと、ぼんやりと3隻ほどの船影が見えてきた。しかし何か様子が違う。異常にでかい。漁船がいるものだと思っていたが、それは海保の巡視船と中国の海洋監視船「海監」だった。巡視船6隻と海監10隻が、先頭から約10キロにわたり隊列を組んで並走する様はまるで映画のワンシーンのようで、機内は一機に緊張感に包まれた」という。

またパイロットは「尖閣付近は視程の悪い事が多くレーダーで探して肉眼で確認する。中国監視船や海保の巡視船が多数隊列をなした18日は、船の影が重なり細長い帯になって見えた」と話している。そして同25日には、尖閣諸島の日本領海内で日本と台湾の巡視船が放水しあう事態も発生した。遠い南の洋上で何が起きているのか?これらをとらえた写真や映像は、現実に起きていることを読者に伝えた。

2010年9月尖閣沖で海保の巡視船に接触する中国漁船の映像は公表されず、海保内部から動画投稿サイトへの流出によって公になった。もし、内部流出がなければ未だに映像が世の中に出ることはなかったかもしれない。そういう意味では、今回は報道機関としての役割を果たせたと思う。

その一方、五輪も領土問題もナショナリズムを刺激する。一部のメディアによる「すわ戦争だ」のような報道には危惧するが、報道そのものがナショナリズムを煽っているという批判も耳にする。過去の苦い歴史も踏まえ、この問題には慎重にそして冷静に対応したいと思う。