被災直後と3カ月後、半年後の状況。現在との比較写真先月25日の東京写真記者協会賞の選考会では予想通り、グランプリの協会賞、一般ニュース部門賞、企画部門賞と新聞協会賞を受賞した毎日、NHKの2社は震災関連作品の受賞だった。

今回の災害の大きさは各社とも、発生から定期的に現場や被災者の現状を紙面で大きく取り上げたことにもうかがえる。協会賞に選ばれた読売の「ままへ」も5月に写真ニュースでフォローしている。

共同でもその都度定点で、被災直後と3カ月後、半年後の状況。現在との比較写真を節目に送信した。岩手県大槌町大民宿に乗り上げていた観光船「はまゆり」。宮城県気仙沼市の市街地は地盤沈下によりいまだに冠水が続いている。岩手県大船渡市の市街地ではがれきはほぼ撤去された。宮城県女川町では津波被害を受けたビルの撤去が進んでいる、石巻市がれきが撤去され草の緑が目立つ。(写真は左下から時計回り)

震災半年では「定点観測」に加え、被災直後に取り上げた住民の半年後の現状を比較した写真を連載企画として配信した。各回に写真記者が記事50行、震災直後に撮影した被災者と近況を送信した。内容は水を運ぶ少年、車中生活を続けた一家、福島県いわき市で原発事故から逃げる一家、離島に取り残された双子と再会した母親、母を亡くした女性、震災直後に出産した女性の一家。被災直後に撮影した写真記者が半年後再び訪れ、粘り強く被災者と交渉し、締め切り間際に取材を承諾していただいた方もいた。

この企画を京都府の小学校では掲載された一部紙面を教材に取り上げ、“今、自分にできること、自分がどうできるか”をテーマとした道徳の授業を受けた5、6年生の子どもたちから京都新聞社を通じて手紙が寄せられた。
「あたりまえのようにくらしている毎日がおくれず、とても悲しい時があったことを知りました」
「今自分が学校に行けることや、自分の帰るところがあることが本当のしあわせなんだ・・」
「被災された方が、少しずつ前向きにがんばっておられる姿を見て、私も負けられない・・」と素直な感想が寄せられ、取材者を通じて本人に届けられた。

「今回の子どもたちの取り組みは学校教育での新聞記事活用から生まれ。記事を通じ社会を知る力、考える力、行動力を育てることにも大きな貢献ができたことにもなり、まことによろこばしいことと思います。」との同新聞社読者応答室長からのうれしいコメントも添えられていた。

一方、一見して分かる被災地と違い廃炉まで30年以上といわれる福島第1原発をめぐる状況を来年以降も長期間伝え続ける重い課題を負ったことを忘れてはならない。