レンタカーの周囲に集まる報道陣
割れたレンタカーのフロントガラス
右翼席後方の防御ネット
サンケイスポーツの女性カメラマンに謝るギャレット選手

沖縄や宮崎などで2月に行われるプロ野球の春季キャンプ。

取材者は、仕事とは言え1年で最も寒い時期に暖かな場所へ行けて、少しはリゾート気分も味わえて良いこともあるのですが、本社で留守番をしている担当部長にとっては、気の休まることのない1か月となります。



 プロ野球の取材には、打球の直撃や、逸れた送球がカメラ席へ飛んでくることもあり、当たり方によっては大きなけがになる場合もあります。最近では、取材席でヘルメットを着用して撮影するカメラマンも目につきます。公式戦が開催される球場であれば1塁3塁に常設の取材席がありますが、各球団がキャンプで使う球場には取材席がなく、練習試合やオープン戦では、選手と同じグランドレベルに折りたたみ椅子を並べて各社のカメラマンが撮影をするので、仮のネットで囲まれてはいても、公式戦以上に注意して取材しなくてはなりません。また、宿舎から球場や取材場所へはレンタカーを使うことが多くなります。普段から部長に「くれぐれも運転には注意するように」とは言われてはいるのですが、連日の取材やデスクからのプレッシャーで疲労が溜まってくると通いなれた道での運転は注意散漫に陥りやすく、事故を起こす可能性が増してきます。気の利いた部長ならタイミングをみて「大丈夫か。疲れてないか。取材で問題はないか。車の運転には気を付けてや」と取材者に電話をして注意を即すなどとても気を遣う事もします。



 それでも、キャンプ期間中には、夜中や休みの時にでも本社の当番デスクから部長の携帯電話へ連絡が入ると「何かあったのでは」と悪い事しか考えず緊張してしまいます。今年の春季キャンプでも、沖縄の巨人キャンプ取材者から緊急の連絡が入ってきました。各紙で掲載されたのでご存知の方も多いと思いますですが、ギャレット・ジョーンズ外野手がフリー打撃で放った特大の場外弾が右翼席後方の防球ネットを超えてサンスポのカメラマンが駐車場に停めていたレンタカーを直撃したのでした。



 本人の話によると「最初は、何が起きたのか分かりませんでしたが、右翼側にいたカメラマンたちが猛然とダッシュする姿が見えました。大事件でも起きたのかと思って走っていってみると「車だ」、「サンスポだ」の声が聞こえ、自社で借りているレンタカーを各社のカメラマンが取り囲んでいるのが見えました。近づいてみると打球は見事にフロントガラスのど真ん中に着弾して、蜘蛛の巣状にヒビが入っていました」と現場の状況を説明してくれました。その後は、レンタカー会社の係員に近隣交番から3人の警察官らが駆けつけ、カメラマンは練習取材をそっちのけで事後処理に追われました。



 警察官からは「走行中なら事故だし、駐車中でもイタズラなら事件だが、本塁打には悪意はない」と駐車中の出来事として事件、事故扱いにしてもらえませんでした。最悪は全額負担となる事態も想定されましたが、フルカバーの保険に加入していたのとレンタカー会社が球場側と対応を検討する事で10万円以上するフロントガラスの修理費を免除してくれたのは幸いでした。練習後には、大ホームランを打ったギャレットが「車を壊してソーリー」と気遣いの言葉をかけてくれたらしく、シーズンに向けて選手との関係づくりが出来た事はラッキーでした。その上に、この一連の騒動が翌日のサンスポ紙面に「サンスポ車破壊弾 ギャーレット」として大きく掲載されていました。けが人もなく大きな事故にもならなかった上に紙面にニュースを提供し編集作業に貢献できた事は本当の「大当たり」でありました。



 まっ、とにかくにも今年の春季キャンプは、各社とも大きな事故やけがもなく無事に取材を終え、カメラマンが真っ黒に日焼けした笑顔て帰ってきてくれたことが留守番をしていた担当部長たちにとっては一番のお土産なのであります。







2017年3月