12球団のプロ野球キャンプも終わり、オープン戦からペナントレースへ。いよいよ我々スポーツ紙にとっても球春到来だ。2月のキャンプは弊社からも12球団に16人のカメラマンが張り付き現地で取材。毎日10㌔~20㌔ほどの機材を担いで、球場とブルペンを行ったり来たり。朝の監督散歩から若手の夜間練習まで15時間密着マーク(たまにはさぼることもあるが…)なんて日もあり、肉体的にはきつい時もある。しかし、夜には地元の泡盛や焼酎が待っていると思うとやる気もパワーも出る。

キャンプ期間中は、ライバル社と「呉越同舟」になることも。南国の開放的なムードに身を任せ、ついつい時間が過ぎるのを忘れてしまう日も少なくない。ここに載せた一枚は、2月19日付けの紙面を飾った写真。大リーグから8年ぶりに古巣・広島に復帰した黒田博樹投手(40)が沖縄2次キャンプに合流し、ブルペンの投球練習で背番号「15」を披露した時のものだ。200人を超える報道陣が集まり、カメラマンたちも火花を散らしながらファインダーを覗いている(写真①=篠原岳夫記者撮影)。

我々の場合、出張が長期間の特にキャンプ中は各社ほぼ同じ行動パターンになることが多い。もちろん仕事だから写真の善し悪しや紙面での「勝ち」「負け」はあるのだが、実は自分の会社の先輩や後輩といる時間より長くなるから、他社から教わることも多いのだ。新人は特に監督や選手との接し方や挨拶に始まり、休日ごとに球団に頼んでやらせてもらう企画写真のポーズの作り方、そしていかに撮りこぼしがないように動くかまで、私自身ライバル社から教えてもらったことは多かった。そして何よりも若手カメラマンにとって他社の先輩から学ぶことは、お酒の飲み方。スポーツ紙流に言うと「鬼飲み」とも…。今も徒弟制度が残るこの業界では、カラオケや芸の一つもできなければ昼間の「授業」も受けられない。他社の先輩から技術を得るには、夜の振る舞いが大切なのだ。(写真②=巨人・原監督と記念写真に納まる各社カメラマン)

今は東京で内勤中心のこちらとしては、電話口の向こうから聞こえる沖縄民謡のBGMがうらやましい限りだ。せめて南国の香り?だけでもと思っていたら、出張している優しい先輩や同僚からみかんやアイスクリームが届いた。そんな人情とパワーあふれるスポーツ新聞を今シーズンもどうぞよろしくお願いします。

2015年3月