新しい年があけました。今なお東日本大震災で被災され、苦しみ、不自由な生活を続けている方々に心よりお見舞い申し上げます。

展示の約4割を占める東日本大震災写真を中心に約300点を展示した「2011年報道写真展」(日本橋三越本店11年12月16日~25日)は、大勢の人たちに見て頂きました。日本橋三越調べでは、昨年より1万人多い約5万人を超える人たちが入場しました。連日あまりの多さに大震災がいかに高い関心事であるか、またこの報道写真展が多くの皆さまに受け入れられ、定着したと改めて感激しました。受付に置いた「ユニセフ募金」には、期間中に、何と36万円もの募金を頂きました。感謝に堪えません。全額を日本ユニセフ協会に寄付させていただきました。

報道写真展開場式のテープカットには、新大関琴奨菊関と「なでしこジャパン」の丸山桂里奈選手をお招きしました。新大関は今年のさらなる活躍を約束し、丸山選手はケガを直して一線に戻り、がんばりたいと抱負を語っていました。この報道写真展は、今年1月14日(土)から4月15日(日)まで、横浜市の日本新聞博物館に会場を移して展示されます。

昨年、報道写真展について取り上げた朝日新聞の「天声人語」に「私たちは指先ひとつで、ある一瞬に永遠の命を授けることができる。写真の話しである。シャッターが切られ、ひとたびフレームに納まった表情や景色は、時計の針と同じ速さで遠ざかりながら、過去を語り続ける」。最終章に「被災者らが自筆のメッセージを掲げる『読む写真』がある。子どもたちの小さな決意に、深くうなずいた。『もらった命 たから かんたんに失わないようにがんばって生きよう』。写真は時として、未来も語る」とありました。なるほど。

会場に置かれた「感想ノート」には、さまざまな意見、感想が書かれていました。①毎年見に来ています。今年は東日本大震災ばかりのニュース。来年はロンドンオリンピック、楽しみにしています(男性)②心が痛むほどの写真に心の中で手を合わせました。私も3カ月後、被災地を訪問、写真で見る以上のものでした。カメラマンの心に感謝。③写真の力を実感しました。命懸け一心に撮影された皆様有難う御座います。(高2、女子)④東日本大震災が起きた時の写真を見て私たちも何かできることをして、被災地が復興できたらいいなと思いました。(13歳、中学1年生)⑤写真はリアルに私達に問うて訴えている。何とかしたい。寒さの中で、さぞ大変と思います。頑張って下さい。応援します!⑥写真はすごいです。人がその中にいます。すべてを語っている1枚の写真の力はすごいと改めて思います。⑦写真が伝える現実に胸をうたれた。1日も早く、大好きな東北へ。あの時の三陸へ今、行く決心がようやくつきました。力になれるかわからないけど、行くぜ東北!⑧写真を業とする者です。最初の「ままへ」の写真を見て、平静を保つので精一杯でした。⑨朝日の社説で展示会を知り、仙台から参りました。ありがとうございます。自身で見た光景と同じです。⑩映像では伝わらない瞬間を切り取った報道写真は、胸に迫るものがあり、1枚の写真に涙が出ました。=感想143点から10点の抜粋です。

「歴史が動いた年」と言われた09年、「混迷の政権運営」と言われた10年、「未曽有の大震災」に見舞われた11年、12年は世界同時恐慌危機とか、財政危機、超円高、北朝鮮の行方、福島第一原発の放射能汚染問題など明るさが見えてきません。またロシア、アメリカ、フランス、韓国の大統領選関連、中国の国家主席継承、ひょっとしたら総選挙など「選挙の年」でもあります。その中で、明るい話題としては5月、東京スカイツリーの開業、7月、期待されるロンドン五輪があげられます。

今年も、写真記者たちは「国民の知る権利」に応え、記録して伝える――愚直に、真摯に、忘れることなく続けることが大切だと思います。その記録は「時代の証言」です。権力チェックと同時に弱い立場の人たちの代弁者でもあります。また、質の高い企画ものに見られるように、ひとりの表現者として写真の中から今年も多くのメッセージを発信してくれることを期待しています。

2012年1月