あけましておめでとうございます。今年も皆さまにとって実りある一年でありますよう、お祈り申し上げます。

さて、東日本大震災から早いもので3回目の正月を迎えます。発生年の2011年の報道写真展では、大震災関連の写真の出展は約120点でした。これに対し、2013年報道写真展では約40点。多いか少ないか議論が分かれるところですが、災害復興の現実、被災者の人間模様など作品の中身は濃く、会場では目頭を押さえる来場者の姿があったこともご報告しておきます。

毎年のことですが、報道写真展の開催は在京15社の実行委員の皆さんの一年に渡る努力の結晶です。応募写真は年間ざっと5,000枚。2カ月に1回の審査会で各社から寄せられた写真を一堂に並べ、実行委員が悩みながら選んでいきます。今回は最終的に事件事故、スポーツ、文化芸能、皇室、企画など約250点(企画ものなどはパネル複数枚でも1点と数える。パネル枚数だと約300枚)が残りました。オープニングセレモニーでは、プロ野球読売巨人軍の長嶋茂雄終身名誉監督がテープカットを務めてくださいました。長嶋さんの輝くようなオーラは健在で、会場がひときわ明るくなったような気がしました。会期半ばには安倍晋三首相も来場。こうした映像がテレビを通してお茶の間に流れた効果もあったのか、11日間の来場者は4万人を超えました(三越調べ)。

12月に入って、特定秘密保護法成立、猪瀬直樹東京都知事辞任、安倍首相靖国神社参拝など重要ニュースが相次ぎましたが、報道展では会場入り口に「速報」の看板を出して、一部についてA4プリントを張ったのが精いっぱいでした。それらの写真は、横浜の日本新聞博物館で今年1月11日から3月30日まで行われる「2013年報道写真展」にパネルにして展示されます。

2014年は、ソチ冬季五輪(2月7日開幕)、サッカーW杯ブラジル大会(6月12日開幕)、仁川アジア大会(9月19日開幕)など華やかなスポーツ・イベントが目白押しです。その一方、4月からの消費増税で国民の暮らしはどうなるのか、隣国の中国、韓国との関係は改善されるのか、そして先に述べた特定秘密保護法がわれわれの報道活動にどのような影響をもたらすかも気になるところです。

いずれにしても写真記者たちは、地道に、謙虚に取材対象の全体像を凝視してシャッターを押すしかありません。相手の発しているメッセージをどう切りとってどう伝えるのか、先を見通す構想力、想像力を持って、ひるまず前進して頂きたいと願っています。

2014年1月