コラム
2010年 年頭挨拶
明けましておめでとうございます
皆様のご清福を心からお祈り申し上げます。今年もよろしくお願いします。
昨年暮れ、日本橋三越本店で開催された「2009年報道写真展」は、天皇、皇后両陛下の行幸啓を仰いだほか、09年のマン・オブ・ザ・イヤーと言える鳩山由紀夫総理夫妻が来場。また、ご自身も写真を撮影される高円宮妃久子さまも鑑賞に来られました。VIPの相次ぐ来場が影響したのか、入場者は三越調べで約4万人以上と、一昨年と比べ約1万人増となりました。50回目の節目にふさわしい活気溢れる報道展となり、開催にご尽力いただいた関係者各位に改めて感謝申し上げます。
会場に展示された約280点の作品を一点一点頭に浮かべてみると、写真記者が事件事故、スポーツ、話題ものなどを追い求めて真摯に、中には命がけでシャッターを切った力作、労作ばかりです。写真という媒体が持つ、強いメッセージ性を再認識させられた思いです。来場者に自由に書いていただく「感想ノート」には、今年も「感動した」「思いの宿った写真に言葉を忘れた」「さすがプロカメラマン、うまい」などお褒めの意見が多く寄せられました。一方で、「皇室の写真が多すぎる」「テレビで見たものばかりだ」などとちょっぴり辛口な意見も頂戴しましたが、われわれはこうした声も謙虚に胸に抱き、成長の糧にしなくてはいけません。
さて2010年は、2月にバンクーバー冬季五輪、6月にサッカーW杯南アフリカ大会と大きなスポーツイベントが控えています。後半に入ると、7月に参院選挙が予定されています。政権交代後、初の大型国政選挙であり、有権者が参院でも民主党に単独過半数を与えるか、自民党が巻き返せるかが焦点です。結果によっては、政界再編のうねりが起きかねません。また、10月にはCOP10(生物多様性条約第10回締約国会議)が名古屋で開催。地球環境問題に重きを置く鳩山政権のもと、日本のイニシアチブでどこまで有意義な枠組み作りが進むのかが注目されます。
以上のように、今年も写真記者の出番は目白押しです。社会の隅で苦しんでいる人たちの現状を、スポーツ選手が描く伸びやかな表情を、政治家が繰り広げる人間の機微の一瞬を、写真記者たちがどう切り取って伝えてくれるのか、今から期待が膨らみます。われわれの責務は、月並みですが、読者のためにより早く、正確な、分かりやすい写真報道を心がけることです。愚直に取材対象にぶちあたっていけば道は開けてくると信じています。今年も元気印で、自然体で、やりぬきましょう。
2010年1月