コラム
4月のコラム
日本が見事にWBC連覇を達成した。決勝戦の相手は、今大会5度目となる韓国だった。これは敗者復活戦が組み込まれるダブル・エリミネーション方式の弊害だったが、主催者側からすれば狙い通りの集客をもたらした。前大会のように失点率で順位が決まるリーグ戦は、見ている側からすれば分かり難いかも知れないが、色々な国の対戦が見られて楽しいと思う。
試合は延長10回5-3。頂点を決定する試合にふさわしい好ゲームだった。試合を決めたのはやはりイチロー。一夜明けの会見で「本当に美味しいところをいただきました。ごちそうさまでした。」と本人が言っていたが、報道するこちらも「あなたが決めてくれて、本当にごちそうさまでした。」と言いたい。試合直後には新聞各社が号外を出し、テレビ各局の報道番組は“侍ジャパン連覇”を大々的に放送した。そして翌日は、新聞各社が即売を増刷し、テレビ各局は朝からワイドショーで視聴率を稼いだ。
イチローの活躍は我々マスコミ以外にも2人の男を救った。1人は民主党・小沢一郎代表。この日、政治資金規正法違反の罪で、小沢氏の公設第1秘書で陸山会会計責任者の大久保容疑者が起訴された。小沢氏は党本部で行われた会見で、涙を流しながら代表続投を表明した。もう1人はお笑いタレントの陣内智則。女優藤原紀香と正式に離婚し、都内で会見した。会見の冒頭で、離婚の原因は自らの女性問題と頭を下げた。もし、侍ジャパンの連覇がなければ一般紙は小沢氏を、スポーツ紙は陣内を大々的に報道していたに違いない。
2大会連続のMVPに輝いた松坂は、試合後のインタビューで「明るいニュースを日本に届けられてよかった。」と言っていた。100年に1度の大不況、紙媒体の低迷の中で本当にうれしいニュースである。スポーツ紙的には、この勢いのまま4月3日のプロ野球開幕、4月6日(現地時間)のMLB開幕、そして石川遼が出場する4月9日(現地時間)開幕のマスターズと盛り上がってくれる事を期待したい。
2009年3月