コラム
5月のコラム
突然のご挨拶で失礼いたします。この5月からサンケイスポーツ写真部長を仰せつかりました薩摩嘉克と申します。産経新聞社に入社してから25年以上になりますが、これまでは大阪本社で取材、デスク、部長を経験してまいりました。東京での仕事、生活は全く初めてのことなので分からないことばかりではありますが、皆様からのご教示ご指導のほどよろしくお願いいたします。
ずいぶんと以前の話にはなりますが、平成9年から大阪本紙で月1回、カラー紙面1ページを使った写真企画「にっぽん原風景」の連載が始まりました。担当カメラマンに指名された私は、全国に懐かしい風景、古い景観を求めて北海道から沖縄まで撮影に走り回ることになりました。日本人が「原風景」と思い描く景観は、山深い寒村であったり、離島だったりと足場の悪い場所が多く、苦労の多い旅でもありました。連載が5年を過ぎた頃に、それまで訪れた地域を確認してみようと取材ノートを見返したところ、全国で1都1道2府42県にも及びました。「まったく様々な場所へと取材へ行ったものだ」と思っておりましたが、不思議なことに茨城県だけは一度も訪れていない事実に気が付きました。何度かは取材候補にあがった事もありますが、その後の10数年間も何故か茨城県だけは訪れることはありませんでした。
今回の東京本社転勤を機会に、訪問できていない茨城県へと行こうと決め、5月のゴールデンウィークを利用して、上野発の常磐線特急「ときわ」で水戸へと向かいました。乗り心地の良い特急列車での1時間17分ほどの短い旅ではありましたが、大きな感慨を持って茨城県の土地を踏みしめることがやっと出来ました。水戸市内で偕楽園を散策(写真①)した後は、レンタカーを借りて国道51号線を太平洋に向けて走りました。大洗磯前神社(写真②)から国営ひたち海浜公園(写真③)、東海村などを訪ねてまわりました。ゴールデンウィークの大渋滞とネモフィラを見に集まった観光客の多さには辟易とさせられましたが、美しい景観、美味しい料理とフルーツに温かな人情の素晴らしい土地であることを知りました。個人的な感想ですが、どうして茨城県が「都道府県魅力度ランキング」で最下位になるのか全く理解できません。
とにかくも、東京に着任して最初の仕事が、個人的な全国47都道府県の制覇と日本三名園鑑賞という大きな仕事になったことをご報告させていただきます。
2015年5月