東京写真記者協会賞(2014年グランプリ)
「火山灰の中に生存者」
産経新聞社 大山 文兄
〈受賞者コメント〉
=超望遠レンズで捉えた生存者=
今回の噴火で亡くなられた方々のご冥福を心からお祈り致します。
長野・岐阜県境の御嶽山が噴火した翌日の9月28日、東京からチャーターヘリコプターで現地へ飛んだ。突然の噴火から1日後の航空取材。捜索や救出風景をアップで狙おうと、普段ヘリ取材では使わない800ミリの超望遠レンズを持ち込んだ。紅葉する山々とは対照的に、火山灰で埋め尽くされグレー一色になった山肌に目をこらす。しばらくして同乗していた社会部記者が石垣に寄りかかる女性を発見した。超望遠でも豆粒にしか見えない。上空を2周し40枚ほど手持ちで撮影した。少しして女性は捜索隊のヘリコプターに救助された。取材を終え機内で画像を確認した。石垣の横に座り込む女性を拡大すると、わずかに右手が動いている。画像を見比べるとリュックサックも少し動いていた。「生存者だ!」。そう確信して本社に写真を送信した。