©2019 TOKYO PRESS PHOTOGRAPHERS ASSOCIATION
東京写真記者協会賞-2022年グランプリ
ウクライナの空を思う
毎日新聞社 小出 洋平 
難民向けに用意されたバスに乗り込み、国旗が映り込んだガラス越しに空を見上げる女性(ポーランド東部国境メディカ 3月13日)
一般ニュース部門賞(国内)
深海からつり上げられるKAZU Ⅰ
読売新聞東京本社 佐々木 紀明 
北海道・知床半島沖で乗客乗員26人を乗せた観光船「KAZUI(カズワン)」が沈没し、大勢の人が行方不明となっていた事故で、26日夕、やっと作業台船によって深海からつり上げられた(北海道・斜里町沖/本社チャーターヘリから 5月26日)
一般ニュース部門賞(海外)
泣き崩れる母
共同通信社 遠藤 弘太 
ロシア軍の砲撃で亡くなった一人息子オレクサンドルさんが眠る盛り土の傍らで泣き崩れるリュドミラ・ニシネツさん(手前)。夫が優しく抱きかかえた(ウクライナ・キーウ近郊イルピン 4月15日)
企画部門賞(国内)
おっとフォーカス
読売新聞東京本社 中村 光一 飯島 啓太 若杉 和希 
自然や建築物を独自の視点で狙い、「おっ」と思った形や色のおもしろさを空撮で表現した (本社ヘリなどから)
中禅寺湖から猛烈な勢いで大量の水が落ちていく「華厳の滝」(栃木県日光市 6月29日)
山全体を芸術作品にした太平洋戦争中の疎開芸術家が作った「山の目」(相模原市 2021年11月27日)
馬蹄形の大きなストーンアーチが重なり合い、不思議な形を構成している「石の教会内村鑑三記念堂」(長野県軽井沢町 2月6日)
30以上のテラスが9層で重なり幾何学的な模様を形作っている「明治百年記念展望塔」(千葉県富津市 4月2日)
「天橋立」を真上から眺める。右側は宮津湾、左側は阿蘇海(京都府宮津市 8月28日)
企画部門賞(海外)
ウクライナ 侵略の地で
読売新聞東京本社 冨田 大介 関口 寛人 三浦 邦彦 


「-混迷-」ロシアのウクライナ侵略が始まり、多くのウクライナ人が国内外に避難を余儀なくされた。避難者が殺到し大混乱するポーランドの国境検問所では、泣き叫ぶ子供を腕に抱え必死で守る母親の姿があった (ポーランドの国境検問所 2月28日)
「-惜別-」ロシアの侵略で犠牲になった夫(45)の墓の前で、涙をぬぐうマリーナ・コストゥシェビチさん(35)。夫は4月、集団墓地で見つかった。顔には激しい暴行の痕があった。「なぜこんな殺され方をしなければならなかったのか」。露軍が一時占拠したキーウ近郊ブチャでは、400人以上が殺害されたとみられている (ウクライナ・ブチャ 5月12日)
「-破壊-」露軍の空襲や砲撃で無残に破壊されたキーウ北西50キロにあるボロジャンカの集合住宅。露軍は当初、首都キーウの制圧を狙い、周辺の街を徹底的に破壊し、一時占拠した。撤退後の景色は変わり果て、市民を標的にした「戦争犯罪」の痕跡が色濃く残っていた (ウクライナ・ボロジャンカ 5月13日)
「-慟哭-」ロシアによるウクライナへの軍事侵攻から約2カ月の4月、西部リビウには連日、前線から兵士が遺体となって帰り着いていた。北部戦線で命を落とし、ようやく地元に戻ってきたオレクサンドル・バンドロブスキーさん(22)の葬儀には多くの市民が参列し、家族はひつぎにすがりついてむせび泣いていた (ウクライナ・リビウ郊外 4月15日)
「-決意-」ロシアによる侵略が続くウクライナ東部で、地雷の爆発により両足と左手の指を失ったオクサナ・バランディナさん(23)=左=は、避難した西部リビウの病院で6年来の恋人ビクトル・バシリブさん(23)と結婚を果たした。先の見えない戦時下でも、奪われた日常を取り戻そうと、一歩を踏み出す人たちがいた (ウクライナ・リビウ 5月4日)
スポーツ部門賞(国内)
新時代 パーフェクトゲーム達成
報知新聞社 頓所 美代子 
プロ野球28年ぶりのパーフェクトゲームを達成し、チームメートからのペットボトルシャワーを浴びるロッテ・佐々木朗希 (ZOZOマリンスタジアム 4月10日)
スポーツ部門賞(海外)
金メダル目前、まさかの転倒
サンケイスポーツ新聞 松井 英幸 
北京五輪スピードスケート女子団体追い抜き決勝。最終ラップの最終カーブ、隊列の最後尾の高木菜那がバランスを崩し、まさかの転倒。ゴール直前60メートルで起きた悲劇の瞬間だった (北京・国家スピードスケート館 2月15日)
文化芸能部門賞
トム、後ろ後ろ!
東京中日スポーツ 嶋 邦夫 
「トップガンマーヴェリック」のイベントで、手を振りながらファンに近づくトム・クルーズ。自撮りでツーショットを収めたいファンは、トムが近づくと後ろを向いてご対面 (横浜港 5月24日)
〈奨励賞〉一般ニュース部門(国内)
涙枯れ…
東京新聞 佐藤 哲紀 
凶弾に倒れた安倍晋三元首相の葬儀を終えて、位牌を手に無念の表情で増上寺を出る妻の昭恵さん (東京都港区 7月12日)
〈奨励賞〉一般ニュース部門(海外)
再会のキーウ駅 待ちわびたこの日
朝日新聞社 関田 航 
戦闘が続くウクライナ国内にとどまっていたアンドリー・ポリシュクさん(52)は、ドイツに避難していた妻のマリヤさん(47)と半年ぶりに再会を果たした。キーウ駅のホームで、車両から降りてきたマリヤさんに静かに歩み寄ると、しっかりと抱きしめた (ウクライナ 8月15日)
〈奨励賞〉企画部門(国内)
ローカル線のある風景
朝日新聞社 吉田 耕一郎 嶋田 達也 井手 さゆり 
ヒマワリ畑の中を進む銚子電鉄の列車。電車運行維持のため、ぬれ煎餅を買ってほしいとホームページで訴えたのが2006年。今や物販は鉄道の約6倍の売り上げに。「お化け屋敷電車」「電車プロレス」など多彩なアイデアが話題だ (千葉県銚子市 8月3日)
ライトアップされた桜と小湊鉄道の車両。千葉県市原市の飯給(いたぶ)駅では、水をはった田んぼに、車両の姿が映っていた。東京から近いが全線非電化で気動車が走り、古い駅舎も人気だ (千葉県市原市 4月6日)
長野県上田市の上田電鉄別所線は、上田駅と別所温泉駅を約30分で結ぶ。2019年10月の台風19号では、大雨で千曲川橋梁が崩落した。市民に親しまれてきた赤い鉄橋は、市が鉄橋を所有することなどを条件に、8億円超の費用の97.5%を国が実質的に負担することで21年に復活した (長野県上田市 8月19日)
岩手県宮古市の閉伊川にかかる鉄橋を渡る三陸鉄道リアス線の列車。東日本大震災後の2019年、JR山田線の宮古-釜石間が移管され、盛(さかり)から久慈までがつながった。第三セクターとしては日本最長の163キロを走る (岩手県宮古市 7月29日)
初冬の日没直前、夕日を浴びながら太平洋沿いの北海道根室市落石海岸を進むJR根室線の車両。根室線の釧路-根室間は湿原など道東の豊かな自然の中を走る。車窓からエゾシカの群れやタンチョウが見えることも多い (北海道根室市 2021年12月14日)
〈奨励賞〉企画部門(海外)
SEIYA@フィールド・オブ・ドリームス
日刊スポーツ新聞社 狩俣 裕三 
米大リーグ・カブスの鈴木誠也が、名作映画の舞台で試合を行う「フィールド・オブ・ドリームス・ゲーム」に日本選手で初めて出場した。レッズ戦に4番右翼で憧れの地に立ち、決勝打を放つなど、夢の球場で躍動した (米国・アイオワ州ダイアーズビル 8月11日)
スコアに1点を加えるオールドファッションのスコア係
米国国歌独唱を聞く、鈴木らカブスの選手たち
試合前、昔のグラブをつけてキャッチボールをする鈴木
特設球場のセンターからの眺め。トウモロコシ畑が美しい
映画に出てきた主人公の家族の家を背に守備に就く鈴木
〈奨励賞〉スポーツ部門(国内)
涙のラストラン
スポーツニッポン新聞社 会津 智海 
平昌五輪で金メダルに輝くなどスピードスケートの第一人者、小平奈緒が現役最後のレースで優勝を果たした。ホームリンクで行われた全日本距離別選手権500メートルを万感の思いで滑る (長野市オリンピック記念アリーナ 10月22日)
〈奨励賞〉スポーツ部門(海外)
『二刀流』で快挙
共同通信社 藤尾 明華 
米大リーグのホワイトソックス戦に「3番・投手兼指名打者」で先発し、力投するエンゼルスの大谷翔平。西日が「スポットライト」のように大谷を照らしていた (米国・アナハイム 6月29日)
〈奨励賞〉文化芸能部門
祭りだ!祭りだ!『戻ってきた日本の夏』
産経新聞社 鈴木 健児 
3年ぶりに行動制限がない夏を迎え、猛暑のなか「疫病退散」を祈り、「五穀豊穣」を願う夏祭りが各地で再開した。声出し自粛や人数制限など、できる限り感染対策を講じて開催にこぎ着けた。祭りを取り巻く人々からは、伝統行事を取り戻した喜びと熱い思いが、マスク越しにも伝わってきた
「京都・祇園祭」疫病退散を祈り、平安時代から続く祇園祭の山鉾巡行が3年ぶりに行われた。「動く美術館」とも称される色鮮やかな山鉾23基が灼熱の都大路を進み、観客を魅了した (7月17日)
「青森・ねぶた祭」夕刻、出陣するねぶたに明かりが灯ると、周辺は歓声と拍手 に包まれた。「ラッセラー、ラッセラー」の掛け声とともに乱舞する踊り子「ハネト」の人数は制限されたが、「やっぱ青森の人はねぶたが始まると、じゃわめいでまってまねなー(血が騒いでしまってだめだわ)」と話す人も (8月2日)
「盛岡・さんさ踊り」盛岡の夜空に太鼓の音が響きわたる。声は出さず、精いっぱいの笑顔で観客を引き付けた (8月3日)
「福岡・博多祇園山笠」「オイサ、オイサ」。山車を担いだ勇壮な男衆が境内になだれ込む。鎌倉時代に疫病退散を願い祈祷水を撒いて清めたことが起源とされる博多の夏の風物詩 (7月15日)
「山形・花笠まつり」「ヤッショ、マカショ」の合いの手は自粛。マスク姿の踊り子らが華やかに練り歩き、沿道の観客は拍手で応えた (8月5日)
〈特別賞〉(2022年度新聞協会賞受賞作)
安倍晋三元首相銃撃事件の写真報道
毎日新聞社 久保 聡 
〈特別賞〉(2022年度新聞協会賞受賞作)
写真連載『太田川 恵みと営み』
中国新聞社 安部 慶彦 
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